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×マリーさんの姫様自慢

2009-02-22 22:42

時間軸は第一部の終わりごろ。




マリーさんの姫様自慢




私は姫様専任のメイドをしていますが、その仕事にもお休みはあるのです。
今日はその久しぶりのお休みです。
私がそのお休みの日に何をやっているかと言えば、実家は南方の離れた所にあるので遠くて帰れないので、大抵は町に出かけます。

「今日、休みなのか?」
「そうよ。せっかくだから姫様の9歳の誕生日のお祝いに何かいいものがあれば買おうと思っているの」
「お前の”姫様”好きは呆れるほどだな」
「だって姫様はとても可愛らしいもの!」

はあ…と大きなため息をつくこの男は、私の幼馴染のレド・アルザンと言う勿論貴族の息子。
特殊な才能を持っているので、学院に通う事を認められて、数年前から軍に所属している…はず。
あまり詳しくは知らないんですよね、レドは機密事項とか言って教えてくれないので。
別に知らなくても困らないのでいいんですけど。
レドとはお休みが重なった時に、たまに城下町の店で会う事があるのです。

「レドには姫様の可愛らしさが分からないのね!」
「いや、可愛らしいって…普通の姫様だと俺は思うんだけど」
「姫様を見たことないのに普通なんて言わないで欲しいわ」
「見たことあるぞ。ちょっとだけだけどな」
「え?!!」

おかしいです。
姫様は滅多に外出をされない方、レドが姫様を見る機会なんてないはずです。
最も、姫様は今でもしょっちゅうひょこひょこ黙ってお屋敷を抜け出しているようなので、可能性が低いのであってあり得ないとは言い切れませんけれど。

「ほら、その”姫様”が浚われた時の事だよ」
「…姫様がシュリに浚われた時の事?」
「そう。結局、フィリアリナ将軍とクルス殿下、セルド様と一緒に戻ってこられて、その時見たんだよ」

つい先日、本当につい最近のことなのですが、ティッシとシュリで一色触発になったのです。
イディスセラ族が住むシュリは、住人全てが名門貴族のような能力ある方ばかりで残忍で冷酷でそして好戦的だと聞いています。
戦争が起こるかと思っていたのですが、本格的な戦争になる前に止まってしまったようなのですね。
私にはよく分かりません。
捕えられていたイディスセラ族に姫様が浚われて、その時何もできなかったことに私はどれほど後悔したか…!
姫様が無事に戻ってきてくださっただけで、私はそれだけで嬉しかったです。

「マリーの姫様ってのは、学院には行ってないんだよな?」
「どうしてそんな事を聞くの?」
「いや、ちょっと…な」

レドの言い方は何か気になっているような言い方。
姫様に関係する事かしら?

「マリーは俺の特殊能力知ってるだろ?」
「法力の色が分かるってあれね」
「そ、マリーの色は暖かい橙色。薄いけどな」
「私の法力は少ないもの」

レドは法力の色が見える特殊能力を持っている。
その能力を買われて今では軍属。
法力の色が見えるからか、レドの目の色はちょっと変わっているの。
とても珍しい綺麗な紫紺。
私は姫様の青い瞳の方が綺麗だと思いますけれどね!

「ティッシ軍がシュリに攻め込んだ時にシュリから一気に強力な結界が広がったのは知ってるか?」
「結界があるのは知ってるわよ」
「実はその結界展開範囲内に数十人ほどの軍人が残されててさ」
「犠牲者が出たとは聞いてないけど?」
「いや、無事には無事だったんだよ」

何がいいたいのかしら?
私はレドの言いたい事が分からずに首を傾げる。

「誰かが残ってたティッシ軍人全員を法術で転移させてくれたらしい」
「へ?…全員?」
「何故だか分からないが、中には猿とか馬とかまで一緒に転移してきたらしいけどな」
「ちょ、ちょっとまって、レド。数十人を転移って…ものすごく高度な法術なんじゃないの?」
「ものすごくどころじゃない。このティッシでそれほどでかい規模の法術はフィリアリナ将軍でも出来ないって言ってた」

フィリアリナ将軍というのは旦那さまの事です。
フィリアリナ姓の将軍位は旦那さましかいらっしゃらないから、大抵の人が外では旦那さまをフィリアリナ将軍と呼ぶのです。

「けど、何でそんな事を私に言うの?」

どこか姫様に繋がるのかしら?
それとも姫様も一緒に転移してきたから、何か関係でもあるのかしら?

「俺は転移してきた人間を目の前でみたんだけどさ、その法術を使った人間の法力の色が見えたんだよ」
「珍しいわね。レドが法術の痕跡で色が見えるなんて相当法力を使った法術なんでしょうね」
「だろうな。あれだけの法力を使えば、術者は確実にぶっ倒れているだろうな」
「それで?」

私は先を促す。

「その法力の色がさ…」
「使った人が誰か分かったの?」
「いや、分かったというかなんというか、同じ色の人はいなかったんだが、似た色持った人はその時見たというかなんというか…、けど次に見かけたときはその色がなかったから見間違いかもしれないわけで…」
「はっきりしない言い方ね」
「だってな、その時に色持ってたのがあり得ない人だったんぞ?」
「あり得ない?けれど、その時いた人って言えば軍人でしょう?あり得ないかもしれないけど、軍人ならあり得るか…も……」

そこまで言って私は思わず口を止めてしまいました。
あの場に軍人以外の人は確かにいました。
そしてそんな広範囲の高度法術を使えない筈の人でもあります。

「ちょ、レド、まさか……」
「だからそのまさかだ。あの時お前の姫様が一番近い色持ってたんだよ。でも、その後ちらっとフィリアリナの屋敷から見えたあの姫様からは、その色は消えてたんだよな」

法力の色が変わるなんて、レドから今まで聞いたことありません。
私には法力の色なんて分からないのですが、それは変わるものなのでしょうか?
それとも姫様だけが特別?

「…姫様はちょっと不思議なところがあるから」
「これはちょっとレベルじゃないけどな」

確かにちょっとどころじゃありません。
けれど、姫様ってちょっと不思議な所があって、お屋敷から抜け出す時も法術を使っているはずなのですが、奥さまや旦那さまはお屋敷を抜け出す事が出来る程の法術は教えていないとおっしゃっていましたし。

「なあ、マリー。俺、その姫様と1度…」
「嫌です」
「即答かよ」
「姫様を厄介事に巻き込みかねない事には協力できないわ」
「厄介事って、ちょっと会うくらいいいじゃないか」
「そのちょっと会うが信用できないの。別に興味本位ってわけじゃないんでしょう?」
「ぐ…、お前、なんでそういう時ばっかり鋭いんだ?」
「伊達に奥さまに鍛えられているから」
「…その言い方って何気に酷くないか?」

レドには奥さまの怖さがきっとわからないから、そんな事が言えるんです。
奥さまは時々ものすごく怖い時があるので…勿論姫様が関わった時にそうなる事が多いのですが…その場の空気を素早く読むことは、何故か得意になりました。

「とにかく駄目。絶対に、私の可愛らしい姫様には会わせられないわ」
「いつ姫様はお前のものになったんだよ…」

レドが誰かに命じられてそれを調べているっぽいことは分かる。
けれど、私だってこれは大切な事、絶対に譲れない。
幼馴染で今でも仲がいい相手でも、姫様が関わるならば私は絶対に姫様を優先します!
だって、それは私にとっては当然事なんですから!


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