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×マリーさんと奥さま、姫様のドレスを選ぶ
2部のちょっと前あたりか、最初の頃。
マリーさんと奥さま、姫様のドレスを選ぶ
姫様はもうすぐ9歳の誕生日を迎えるのですが、今年はお誕生日のパーティーを開くのだそうです。
パーティーです!
そう、つまり姫様を着飾る事ができるのです!
どうして今年に限ってなどという疑問など、吹っ飛ぶほどに私は楽しみなのです。
可愛らしい可愛らしい、私の姫様のドレス姿です。
そして、今日は奥さまと一緒に、パーティーの姫様のドレスを選ぶ日なのです!
「奥さま、こちらも素敵だと思います!」
「そうね。けれど、こっちもいいと思わない?マリー」
「うっ…!確かにそちらもものすごく捨てがたいデザインですね」
「でしょう。迷うわね…」
ふぅっと困ったように小さく溜息をつく奥さま。
けれど、その表情はとっても楽しそうです。
ええ、私もとても楽しいです!
「けれど、奥さま。ドレスだけでなく、小物も揃えなくてはなりませんから、ドレスを早く決めてしまった方がよろしいかと」
「そうよね。いっそのこと、シリンに似合いそうなのを全部買ってしまおうかしら」
「どれも姫様にとても似合いそうなものばかりですものね」
ずらりっと並んだドレスは、比較的淡い色のドレスばかりです。
ひらひらしたものから、少しレースの少ないものまで。
けれど、シンプルすぎるものは今回はなしです!
だって、姫様ってばいつもシンプルなものばかり着ているんですもの!
あんなに可愛らしいのに勿体ないです。
「仕方ないわ…。6着だけにしましょう、マリー」
「はい、奥さま」
並ぶドレスの数は十数着ありますが、奥さまは諦めて6着のみになさるそうです。
ドレスの値段はそう安いものではないのは分かりますが、やはり全てが姫様にとても似合いそうなので、6着だけなのは勿体ないです。
姫様、ただでさえ持っているお洋服の数は多くないというのに、です。
「あの、母様、マリー……そんなに買っても着る機会がないと思うんだけど…」
どこか遠慮がちに口をはさんでくる姫様。
何を言うのですか姫様!!
6着だなんて少なすぎるくらいなのですよ!
「シリン、このドレスの全てはシリンのためだけにデザインされたものなの。シリンが着ないとただの廃棄物になってしまうのよ」
「か、母様?私の為だけのデザインって…あの、そんな事全然聞いてなかったんだけど……」
「シリンの着ているものは、今はすべてシリンのためだけにデザインされた服よ。言っていなかったかしら?」
「き、聞いてない…」
姫様が冷や汗をたらりっとこぼしているのが見えます。
ふふ、ちょっぴり困惑顔の姫様も可愛らしいですっ!
あれですね、奥さまがオリジナルデザインとおっしゃっているのは、以前、1年位前の事でしょうか、旦那さまがドレスを迷うくらいならばデザインもサイズも全てオーダーメイドにしてしまえとおっしゃったからなのですよね。
その時から姫様の着るものは、ドレスでも部屋着でも寝巻きでも全てデザインから色からなにからなにまでオーダーメイドなのです!
ふっふっふ、流石の姫様もそこまでは気づかなかったのですね。
奥さま、旦那さま、作戦成功です!
「えっとね、母様。私はまだ身体が成長するし、大きくなったら着れなくなるものとかあるだろうから、そんなにお金かけたお洋服は必要ないと思うんだよね」
「あら、その点は大丈夫よ、シリン」
「母様?」
「サイズが合わなくなって着られなくなったドレスは、捨ててはいないわ」
にこりっと微笑む奥さま。
確かに捨ててはいない事を私は知っています。
着られなくなった姫様やセルド様のお洋服はすべて再利用へとまわしますが、そのままではなくバラバラになって、他のお洋服へと使われるのです。
フィリアリナ家が援助している衣類のお店もありますので、一般の中流または上流階級の方々のお洋服の一部となるのです。
ですが、貴族のドレスの全てが再利用できるわけではありませんので、やはり中にはそのまま処分もあるのですね。
「だから、ちゃんと必要な分だけ揃えましょうね、シリン」
「必要な分は分かるけど、6着も…」
「必要よ、シリン」
「でも、母様」
「シリンは、母様の言う事が信じられないの?」
悲しそうに顔を歪める奥さま。
う…と何も言い返せなくなる姫様。
なかなかやりますね、奥さま!
勿論奥さまのこの表情は演技で、姫様もそれを承知しているのですが、姫様ってばこういう表情が演技だと分かっていても弱いのですよね。
姫様はとてもとてもお優しいから、押して押して押しまくってねだると絶対に折れてくれるのです。
「わ、わかった…」
諦めたようにやはり姫様が今回も折れました。
ふふふ、姫様。
ドレスにおいては今回はどうしても譲れませんからね!
「奥さま、それでは6着選んで姫様に試着していただきましょう!」
「ええ、そうね。当日どれにするかも選ばなければならないし」
奥さまと私は、姫様に向かってにっこりと笑顔を浮かべます。
姫様のお顔が少し引きつって見えるのはきっと気のせいですね!
「シリン、試着しましょうね」
「えっと、えっと、母様、別にどれでも同じだし…」
「そんなことありませんわ、姫様!確かにどのドレスも姫様にお似合いでとても可愛らしいですが、やはり姫様が一番可愛らしく見えるドレスを着て頂きたいのです!」
「あの、マリー…」
姫様ってば、姫様ってば、どうしてか自分が可愛らしくないと思い込んでいらっしゃるのです。
姫様、姫様の美醜の感覚を疑うわけではありませんが、その感覚が少しおかしい事を自覚して下さいませ!
姫様はもうすぐ9歳の誕生日を迎えるのですが、今年はお誕生日のパーティーを開くのだそうです。
パーティーです!
そう、つまり姫様を着飾る事ができるのです!
どうして今年に限ってなどという疑問など、吹っ飛ぶほどに私は楽しみなのです。
可愛らしい可愛らしい、私の姫様のドレス姿です。
そして、今日は奥さまと一緒に、パーティーの姫様のドレスを選ぶ日なのです!
「奥さま、こちらも素敵だと思います!」
「そうね。けれど、こっちもいいと思わない?マリー」
「うっ…!確かにそちらもものすごく捨てがたいデザインですね」
「でしょう。迷うわね…」
ふぅっと困ったように小さく溜息をつく奥さま。
けれど、その表情はとっても楽しそうです。
ええ、私もとても楽しいです!
「けれど、奥さま。ドレスだけでなく、小物も揃えなくてはなりませんから、ドレスを早く決めてしまった方がよろしいかと」
「そうよね。いっそのこと、シリンに似合いそうなのを全部買ってしまおうかしら」
「どれも姫様にとても似合いそうなものばかりですものね」
ずらりっと並んだドレスは、比較的淡い色のドレスばかりです。
ひらひらしたものから、少しレースの少ないものまで。
けれど、シンプルすぎるものは今回はなしです!
だって、姫様ってばいつもシンプルなものばかり着ているんですもの!
あんなに可愛らしいのに勿体ないです。
「仕方ないわ…。6着だけにしましょう、マリー」
「はい、奥さま」
並ぶドレスの数は十数着ありますが、奥さまは諦めて6着のみになさるそうです。
ドレスの値段はそう安いものではないのは分かりますが、やはり全てが姫様にとても似合いそうなので、6着だけなのは勿体ないです。
姫様、ただでさえ持っているお洋服の数は多くないというのに、です。
「あの、母様、マリー……そんなに買っても着る機会がないと思うんだけど…」
どこか遠慮がちに口をはさんでくる姫様。
何を言うのですか姫様!!
6着だなんて少なすぎるくらいなのですよ!
「シリン、このドレスの全てはシリンのためだけにデザインされたものなの。シリンが着ないとただの廃棄物になってしまうのよ」
「か、母様?私の為だけのデザインって…あの、そんな事全然聞いてなかったんだけど……」
「シリンの着ているものは、今はすべてシリンのためだけにデザインされた服よ。言っていなかったかしら?」
「き、聞いてない…」
姫様が冷や汗をたらりっとこぼしているのが見えます。
ふふ、ちょっぴり困惑顔の姫様も可愛らしいですっ!
あれですね、奥さまがオリジナルデザインとおっしゃっているのは、以前、1年位前の事でしょうか、旦那さまがドレスを迷うくらいならばデザインもサイズも全てオーダーメイドにしてしまえとおっしゃったからなのですよね。
その時から姫様の着るものは、ドレスでも部屋着でも寝巻きでも全てデザインから色からなにからなにまでオーダーメイドなのです!
ふっふっふ、流石の姫様もそこまでは気づかなかったのですね。
奥さま、旦那さま、作戦成功です!
「えっとね、母様。私はまだ身体が成長するし、大きくなったら着れなくなるものとかあるだろうから、そんなにお金かけたお洋服は必要ないと思うんだよね」
「あら、その点は大丈夫よ、シリン」
「母様?」
「サイズが合わなくなって着られなくなったドレスは、捨ててはいないわ」
にこりっと微笑む奥さま。
確かに捨ててはいない事を私は知っています。
着られなくなった姫様やセルド様のお洋服はすべて再利用へとまわしますが、そのままではなくバラバラになって、他のお洋服へと使われるのです。
フィリアリナ家が援助している衣類のお店もありますので、一般の中流または上流階級の方々のお洋服の一部となるのです。
ですが、貴族のドレスの全てが再利用できるわけではありませんので、やはり中にはそのまま処分もあるのですね。
「だから、ちゃんと必要な分だけ揃えましょうね、シリン」
「必要な分は分かるけど、6着も…」
「必要よ、シリン」
「でも、母様」
「シリンは、母様の言う事が信じられないの?」
悲しそうに顔を歪める奥さま。
う…と何も言い返せなくなる姫様。
なかなかやりますね、奥さま!
勿論奥さまのこの表情は演技で、姫様もそれを承知しているのですが、姫様ってばこういう表情が演技だと分かっていても弱いのですよね。
姫様はとてもとてもお優しいから、押して押して押しまくってねだると絶対に折れてくれるのです。
「わ、わかった…」
諦めたようにやはり姫様が今回も折れました。
ふふふ、姫様。
ドレスにおいては今回はどうしても譲れませんからね!
「奥さま、それでは6着選んで姫様に試着していただきましょう!」
「ええ、そうね。当日どれにするかも選ばなければならないし」
奥さまと私は、姫様に向かってにっこりと笑顔を浮かべます。
姫様のお顔が少し引きつって見えるのはきっと気のせいですね!
「シリン、試着しましょうね」
「えっと、えっと、母様、別にどれでも同じだし…」
「そんなことありませんわ、姫様!確かにどのドレスも姫様にお似合いでとても可愛らしいですが、やはり姫様が一番可愛らしく見えるドレスを着て頂きたいのです!」
「あの、マリー…」
姫様ってば、姫様ってば、どうしてか自分が可愛らしくないと思い込んでいらっしゃるのです。
姫様、姫様の美醜の感覚を疑うわけではありませんが、その感覚が少しおかしい事を自覚して下さいませ!
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