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×マリーさんと姫様のドレス
とりあえず、まだまだ更新かかりそうな気がするので、これを置いておきます。
マリーさんと姫様のドレス
今日は奥さまと姫様のドレスを選ぶ日。
姫様はどうやら着るものにあまり執着を持っていらっしゃらないようで、シンプルなドレスを好んで着られています。
ですが、可愛らしい姫様には可愛らしいドレスが一番!
今日も今日とて、奥さまと一緒にそろそろ替え時のドレスを選ぶのです!
「今日は小物も一緒に買おうと思っているのよ、マリー」
フィリアリナの屋敷の一室に広げられたドレスと耳飾りやリボンなどの小物類。
今は日も沈んだ夜です。
姫様がお部屋でお休みの時、奥さまのお仕事が終わった後でなければこういうことはできません。
何故って、姫様と一緒に一度ドレスを選んだら姫様ってば、地味で目立たないシンプルなものしか選ばなかったんですものっ!
姫様ー!姫様にはもっと可愛らしいものがお似合いなのにっ!
そんなこんなで、奥さまと話し合って姫様のドレスは勝手に決めてしまおうということになっているの。
「奥さま、小物といいますとやっぱりそろそろ宝石類も、ということですか?」
「そうね。けれど、シリンってばアクセサリ関係全然身に付けてくれないでしょう?」
「そうなんです!奥さま!一応最低限は揃えてあるのに、姫様ってば”落としてなくしたら勿体ないから”とかおっしゃるんですよ!」
「物を大切にするのは悪くないのだけれども…」
ふぅっとため息をつく奥さま。
普通の貴族のご令嬢はそんな事はおっしゃらないのだけれども、姫様はちょっと変わっていらっしゃるんです。
勿論そんな所も姫様らしくて可愛らしいのですけれどもね!
「ラティ…?何をやっているんだ?」
突然響いた声に私は思わずびくりっとなって驚いてしまう。
振り向けば、部屋の扉のところに驚いた表情をした旦那さまが!
「シリンのドレスを選んでいるのよ」
「ドレスくらい自分で選らばせればいいだろう?シリンももう8歳だ。そのくらいできるだろう?」
どこか呆れた様子の旦那さま。
旦那さまは男性ですから、こういったお洒落の類への興味は殆どないのは仕方ないかもしれません。
ですが、旦那さま!一言だけ言わせて下さい!
「旦那さま、姫様は確かにドレスを自分で選ぶ事はできます。ですが、ですが…!聞いて下さい、旦那さま!!姫様ってば、姫様ってば、姫様が選ぶドレスってものすごく地味で飾り気がなくて、動きやすいものばかりなんですよっ!姫様はとても可愛らしいのに、可愛らしいドレスを着せなくてどうするんですかっ!」
一気に私は言い切る。
ちょ、ちょっと息が切れそうでした。
「だがな、ラティもマリーも…。シリンに似あうドレスを買うのがいいが、……変な輩に気に入られでもしたらどうする?」
旦那さまの言葉に、私も奥さまもはっとなりました。
そうです、姫様は大変可愛らしいのです。
そう、どんな女にも靡かないあのクルス・ティッシ殿下が姫様を気に入られているなんて噂を最近耳にする事もあるのです。
「確かにそれは盲点ね」
「で、ですが、奥さま。姫様まだ社交界に正式に出ていらっしゃいませんし、そうそう変な輩に目を付けられる可能性も低いのでは?」
「けれども、クルス殿下の前例もあるもの」
「う…、そ、それは…」
姫様は屋敷の外に出られる事が少なく、外部の方々との接触もとても数が少ないのです。
それなのにクルス・ティッシ殿下が姫様を気に入ってくださった噂があるのですよ!
あのクルス・ティッシ殿下がですよ!
殿下は決して変態の部類ではありませんが、女どころが他人には興味ありませんな感じのあの方が姫様を気に入ったとなると、どんな低い可能性もあり得てしまいそうに思えるのです。
「でも、シリンを可愛く着飾れないのは寂しいわ…!」
「…ラティ」
本当に悔しそうな表情される奥さまを、旦那さまはどこか呆れたように見ています。
私には奥さまの気持ちが分かります。
旦那さまが大きなため息をつく。
「まぁ、シリンのドレスを買うのは構わない。だがな…」
「グレン?」
「買うならもっと金をかけろ」
「だ、旦那さま?」
「ゴテゴテ飾り付けて高いものではなく、布質やデザインをオリジナルにしてもらってだな、シリン専用のオーダーメイドものを作らせるのはどうだ?」
「それはいい案だわ!」
ぱんっと奥さまはとても嬉しそうに手を合わせる。
サイズがオーダーメイドというのは今までたくさんあったのですが、デザインも姫様の為にというものはなかったのですよ。
なんて素敵な案をおっしゃるんですか、旦那さま!
私も大賛成です!
「シリンがドレスを好まないのは知っているが、シリンの為だけに作らせた高級なものなら着ざるを得ないだろう」
確かにそうです。
姫様は意外と貧乏性な所があるようなので、まだ綺麗な服を捨てようとすると”勿体ない”と呟くんです。
そんな時の姫様はすごく可愛らしくて!…じゃなくて、今は姫様のドレスです!
「あなたはてっきり、シリンが何を着ていても気にしていないと思っていたわ」
「そんなことはない。私だってもっといろいろ買い与えてやりたいのだが、あの子はどうも物を欲しがらないというか」
「そうなのよね。シリンはすごく可愛いのに、可愛いのに…」
あ…、なにやら奥さまの雰囲気が怖くなってきました。
「あなた、聞いて!ラングリード婦人がこの間シリンの事を”平凡なご令嬢で大変ですね”とか酷い事を言ったのよ!あの醜悪が、自分の事を棚に上げて…」
お、奥さま、ものすごく怖いです。
私がちらりっと旦那さまを見れば、旦那さまは奥さまを怖がる様子もなく同意していらっしゃいました。
流石夫婦です、似た者同士です。
「ラングリード卿もなかなか一言二言多い馬鹿でな。シリンの事を口にした時には、後ろから高等法術をぶちかましてやろうかと思ったが、エルグ陛下がいらっしゃったのでそこはこらえた」
姫様は優しく可愛らしい方なのに、それを知らない人達はどうも姫様のことを軽んじているようなのです。
けど、旦那さま…奥さまどうよう御顔が怖いです。
というより、殺気出てませんか?
「マリー!」
「え?は、はい!」
鬼気迫る様子の奥さまに名前を呼ばれて、思わず声が裏返ってしまいます。
だ、だって、奥さまちょっと怖いですよ。
「明日デザイナーを呼ぶわ。一緒にシリンの服を選びましょう」
にこりっと笑みを浮かべられた奥さまはいつもの奥さまのように見えます。
しかし、何故でしょう。
何やら背後に黒いものが見えたような気がしないでもないのです。
奥さまの言葉に旦那さまは満足そうに頷いてらっしゃいます。
旦那さま…、旦那さまって実はすっごく姫様の事が可愛いのですね。
奥さまだけでなく、旦那さまも親バカであったのは、ちょっと新しい発見です。
実はそれから、姫様に内緒でこっそりと姫様のドレスはオーダーメイドのオリジナルデザインのものオンリーに変えられていくのです。
多分、姫様が社交界に正式に出る頃には、すべてのドレスがオリジナルデザインのものに変わっているんでしょうね。
その時の姫様の反応がちょっと楽しみです!
今日は奥さまと姫様のドレスを選ぶ日。
姫様はどうやら着るものにあまり執着を持っていらっしゃらないようで、シンプルなドレスを好んで着られています。
ですが、可愛らしい姫様には可愛らしいドレスが一番!
今日も今日とて、奥さまと一緒にそろそろ替え時のドレスを選ぶのです!
「今日は小物も一緒に買おうと思っているのよ、マリー」
フィリアリナの屋敷の一室に広げられたドレスと耳飾りやリボンなどの小物類。
今は日も沈んだ夜です。
姫様がお部屋でお休みの時、奥さまのお仕事が終わった後でなければこういうことはできません。
何故って、姫様と一緒に一度ドレスを選んだら姫様ってば、地味で目立たないシンプルなものしか選ばなかったんですものっ!
姫様ー!姫様にはもっと可愛らしいものがお似合いなのにっ!
そんなこんなで、奥さまと話し合って姫様のドレスは勝手に決めてしまおうということになっているの。
「奥さま、小物といいますとやっぱりそろそろ宝石類も、ということですか?」
「そうね。けれど、シリンってばアクセサリ関係全然身に付けてくれないでしょう?」
「そうなんです!奥さま!一応最低限は揃えてあるのに、姫様ってば”落としてなくしたら勿体ないから”とかおっしゃるんですよ!」
「物を大切にするのは悪くないのだけれども…」
ふぅっとため息をつく奥さま。
普通の貴族のご令嬢はそんな事はおっしゃらないのだけれども、姫様はちょっと変わっていらっしゃるんです。
勿論そんな所も姫様らしくて可愛らしいのですけれどもね!
「ラティ…?何をやっているんだ?」
突然響いた声に私は思わずびくりっとなって驚いてしまう。
振り向けば、部屋の扉のところに驚いた表情をした旦那さまが!
「シリンのドレスを選んでいるのよ」
「ドレスくらい自分で選らばせればいいだろう?シリンももう8歳だ。そのくらいできるだろう?」
どこか呆れた様子の旦那さま。
旦那さまは男性ですから、こういったお洒落の類への興味は殆どないのは仕方ないかもしれません。
ですが、旦那さま!一言だけ言わせて下さい!
「旦那さま、姫様は確かにドレスを自分で選ぶ事はできます。ですが、ですが…!聞いて下さい、旦那さま!!姫様ってば、姫様ってば、姫様が選ぶドレスってものすごく地味で飾り気がなくて、動きやすいものばかりなんですよっ!姫様はとても可愛らしいのに、可愛らしいドレスを着せなくてどうするんですかっ!」
一気に私は言い切る。
ちょ、ちょっと息が切れそうでした。
「だがな、ラティもマリーも…。シリンに似あうドレスを買うのがいいが、……変な輩に気に入られでもしたらどうする?」
旦那さまの言葉に、私も奥さまもはっとなりました。
そうです、姫様は大変可愛らしいのです。
そう、どんな女にも靡かないあのクルス・ティッシ殿下が姫様を気に入られているなんて噂を最近耳にする事もあるのです。
「確かにそれは盲点ね」
「で、ですが、奥さま。姫様まだ社交界に正式に出ていらっしゃいませんし、そうそう変な輩に目を付けられる可能性も低いのでは?」
「けれども、クルス殿下の前例もあるもの」
「う…、そ、それは…」
姫様は屋敷の外に出られる事が少なく、外部の方々との接触もとても数が少ないのです。
それなのにクルス・ティッシ殿下が姫様を気に入ってくださった噂があるのですよ!
あのクルス・ティッシ殿下がですよ!
殿下は決して変態の部類ではありませんが、女どころが他人には興味ありませんな感じのあの方が姫様を気に入ったとなると、どんな低い可能性もあり得てしまいそうに思えるのです。
「でも、シリンを可愛く着飾れないのは寂しいわ…!」
「…ラティ」
本当に悔しそうな表情される奥さまを、旦那さまはどこか呆れたように見ています。
私には奥さまの気持ちが分かります。
旦那さまが大きなため息をつく。
「まぁ、シリンのドレスを買うのは構わない。だがな…」
「グレン?」
「買うならもっと金をかけろ」
「だ、旦那さま?」
「ゴテゴテ飾り付けて高いものではなく、布質やデザインをオリジナルにしてもらってだな、シリン専用のオーダーメイドものを作らせるのはどうだ?」
「それはいい案だわ!」
ぱんっと奥さまはとても嬉しそうに手を合わせる。
サイズがオーダーメイドというのは今までたくさんあったのですが、デザインも姫様の為にというものはなかったのですよ。
なんて素敵な案をおっしゃるんですか、旦那さま!
私も大賛成です!
「シリンがドレスを好まないのは知っているが、シリンの為だけに作らせた高級なものなら着ざるを得ないだろう」
確かにそうです。
姫様は意外と貧乏性な所があるようなので、まだ綺麗な服を捨てようとすると”勿体ない”と呟くんです。
そんな時の姫様はすごく可愛らしくて!…じゃなくて、今は姫様のドレスです!
「あなたはてっきり、シリンが何を着ていても気にしていないと思っていたわ」
「そんなことはない。私だってもっといろいろ買い与えてやりたいのだが、あの子はどうも物を欲しがらないというか」
「そうなのよね。シリンはすごく可愛いのに、可愛いのに…」
あ…、なにやら奥さまの雰囲気が怖くなってきました。
「あなた、聞いて!ラングリード婦人がこの間シリンの事を”平凡なご令嬢で大変ですね”とか酷い事を言ったのよ!あの醜悪が、自分の事を棚に上げて…」
お、奥さま、ものすごく怖いです。
私がちらりっと旦那さまを見れば、旦那さまは奥さまを怖がる様子もなく同意していらっしゃいました。
流石夫婦です、似た者同士です。
「ラングリード卿もなかなか一言二言多い馬鹿でな。シリンの事を口にした時には、後ろから高等法術をぶちかましてやろうかと思ったが、エルグ陛下がいらっしゃったのでそこはこらえた」
姫様は優しく可愛らしい方なのに、それを知らない人達はどうも姫様のことを軽んじているようなのです。
けど、旦那さま…奥さまどうよう御顔が怖いです。
というより、殺気出てませんか?
「マリー!」
「え?は、はい!」
鬼気迫る様子の奥さまに名前を呼ばれて、思わず声が裏返ってしまいます。
だ、だって、奥さまちょっと怖いですよ。
「明日デザイナーを呼ぶわ。一緒にシリンの服を選びましょう」
にこりっと笑みを浮かべられた奥さまはいつもの奥さまのように見えます。
しかし、何故でしょう。
何やら背後に黒いものが見えたような気がしないでもないのです。
奥さまの言葉に旦那さまは満足そうに頷いてらっしゃいます。
旦那さま…、旦那さまって実はすっごく姫様の事が可愛いのですね。
奥さまだけでなく、旦那さまも親バカであったのは、ちょっと新しい発見です。
実はそれから、姫様に内緒でこっそりと姫様のドレスはオーダーメイドのオリジナルデザインのものオンリーに変えられていくのです。
多分、姫様が社交界に正式に出る頃には、すべてのドレスがオリジナルデザインのものに変わっているんでしょうね。
その時の姫様の反応がちょっと楽しみです!
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